わたしは対話が怖かった
「わたしは対話が怖かった」 これは、永井玲衣さんの著書『水中の哲学者たち』の中に出てくる一文です。 数多くの学校や企業で哲学対話を展開する永井玲衣さん。彼女の対話に対する正直な言葉、正直な視点に、本のページをめくる私の手が止まりました。 私は、前回のコラムで「リスクを取って話すことから対話は始まる」、そんな主旨のことを書きました。「対話の先で自分が変わること、そのことに両者がオープンな姿勢で臨むこ
不確実性をマネジメントすることがリーダーにとってなぜ重要なのか?
新型コロナウイルスという予測不可能な危機 2020年初頭、人気のあるベルギーワッフルのトラック販売、Wafels & Dinges(ワッフル&ディンジス)は、大規模なビジネス拡大モードに入っていた。ミネソタ州ブルーミントンのモール・オブ・アメリカや、ニュージャージー州メドウランズのアメリカン・ドリームなど、いくつかの市場で実店舗を増やし、エスプレッソとクランベリー・ローズマリーのワッフルを
部下との対話のうち、目標について話すのは何%くらいですか?
かつて日本全体が右肩上がりで、がんばればなんとかなると思えた時代は、家庭でも学校でも「がんばれ!」は魔法の言葉でした。 でも、時は流れたのです。時代が、なんとなくがんばったらどうなるのかを見せてくれるということはもうありません。 多くの若者は「目標を達成して、それで?」と思っています。 だから、目標を達成したら、それはどんな "いいこと" を自分にもたらしてくれるのかということも含めて
コラムで読むコーチング事例(41)変化をピンチにするか、チャンスにするか
これまでHello, Coaching!で掲載した選りすぐりの記事の中から、マネジメントに役立つ事例をテーマ別にピックアップ。 さまざまな組織でコーチングがどのように機能しているのか、リーダーたちがどのようにコミュニケーションの変革に挑んでいるのか。どのような関わりが人を活かし、組織を動かすのか。 事例を通して、具体的なコーチング活用のエッセンスをお届けします。 春は、異動や組織改編の季節。 そ
そのネットワークシステム、万全ですか?
新型コロナウイルス第6波はピークアウトしたようですが、1日も早い終息を祈らずにはいられません。我が家でも、2月の初めに娘が保育園関連で濃厚接触者になったのを機に、家の中が何者かに侵されているような雰囲気となりました。 2月中旬には、夫と息子がコロナ陽性判定。私自身は陰性ながら、珍しく体調を崩し、それから1か月間、ひどい頭痛に悩まされ続けるという体調不良月間となりました。 このコラムの配信が残り1週
第22回 宇宙空間に通信インフラを構築し、人類の活動圏を「宙(そら)」まで広げる
さまざまな業界のトップに、経営に関する哲学をお聞きする経営者インタビューシリーズです。 今回は、商業レベルとしては世界初となる、宇宙空間での光通信サービスの実現を目指す、筑波大学発宇宙ベンチャー・株式会社ワープスペースの常間地悟CEOのインタビューをお届けします。ワープスペースは前身の大学衛星プロジェクトを含め、これまで3機の通信衛星の打ち上げを経験し、JAXA(国立研究開発法人宇宙航空研究開発機
未来をなかなか描けない部下にどう関わりますか?
いきなり未来を問われても、なかなか言葉が出てくるものではありません。上司に面談で突然「お前は将来何をやりたいんだ?」ときかれても、答えに詰まるだけでしょう。 こういうときには "まず、過去を思い出してもらう" という方法があります。 未来を描くためのヒントは、過去のさまざまな体験の中に存在しています。日常に忙殺されている中で、なかなか自分だけでそのヒントにアクセスするのは難しい。だから、コ
人は、自分が参加した対話を通じてリードされる
先日、当社のイベントで、株式会社商船三井の池田潤一郎会長と対談させていただく機会がありました。 池田会長は、社長に就任された7年前からエグゼクティブ・コーチングを受けていらっしゃいます。昨年、会長になられてからは、自らがコーチとしてグループの子会社に新たに就任された4人の社長のコーチングをされるようになりました。私は現在、その4人の社長へのコーチングをサポートさせていただいています。 親会社の会長
コミュニケーションの何に一番価値を置くのか?
その問いへの答えは、あなたが想像しているものとは違うかもしれない。 コミュニケーションは、「話す」「書く」「聞く」という3つの要素から成り立っている。私たちは幼い頃、親や保護者から話すことを学ぶ。書くことは学校で先生に教わる。では、聞くことは、いつ、どこで学ぶのだろうか?実は、その機会はどこにもない。それゆえに、聞くことを学ぶ必要がある職業を選ぶ人もいる。(例:カウンセリング、コーチング、営業)。
叱る以外に、どんな育成のしかたがあるでしょうか?
あるアメリカの心理学の本には "叱る" の定義は "挽回への励まし" であると書いてありました。 本来 "叱る" というのは、相手がミスをしたり、間違ったときに "言い訳させずに、だめなことはだめだったと認識させ、けじめをつけさせ、次に向かわせる" という行為です。 その意識で叱るのであればよいと思うのですが、多くの場合、上司の感情的な反応でしかないことが多い。 自分が思った通りに動